前回のブログでは完全自費移行までのステップ1をお伝えしました。
今回は最大のポイントのステップ2です。
・ステップその2
最大の難関にして最大のポイント「完全予約制」
さて、治療院の受付にはいくつかのタイプがあります。
1.受付順番制
多くの治療院で取り入れられているものだと思います。
治療を受けたい患者さんが当日に直接行って順番待ちをして治療を受けるというものです。空いていればすぐに診てもらえるし、混んでいれば相応の待ち時間が発生します。
患者さんを着た順番に案内しますから受付スタッフの事務的な手間は少ないです。
しかし、患者さんの数や混み具合をコントロールすることができませんので、混雑する時間帯や曜日では長い待ち時間に対するクレームも発生する可能性があります。
2.予約優先制
予約をした患者さんを優先して治療し、そうでない患者さんも受付します。
受付順番制に比べて予約を受けたり管理したりするスタッフの事務的な作業が発生します。
ある程度は予約によって患者さんの混雑具合を調整できるものの、予約しなくても診てもらえるという点では受付順番制と変わりません。
結果的に積極的に予約をする患者さんは一部にとどまってしまいます。
3.完全予約制
文字通り予約した患者さんだけを治療するというものです。
受付スタッフは電話やインターネット予約、来院時の次回予約などの予約管理を徹底する必要があります。
事務作業の正確さの要求レベルは予約優先制の比ではありません。
しかし患者さんの来院を完全にコントロールできるため、混雑することもありませんし、待合室が一杯になることもありません。
計画的な治療が可能となるため、患者さん自身もスケジュールに治療を組み込みやすいという利点が大きいです。
今すぐちょっと診てもらいたい、という治療に対する意識が低い保険患者さんが激減します。
いつでも気軽に好きな時間に治療に行きたい・・・。
このような患者さんは当院にも保険時代は一定数おられました。
みなさんの院にもきっとおられますよね。
保険患者さんの中でも、交通事故の自賠責保険の患者さんに「いつでも気軽に・・・」という方が非常に多かった記憶があります。
「第12回 自費移行で避けては通れない交通事故治療の取り扱い中止」でも書きました通り、その理由は自賠責保険の患者さんの多くは怪我の程度が非常に軽く、怪我を治したいというよりも他の理由で通院している方が多かったからということでしょう。
この交通事故によるケガを負った自賠責保険の患者さんの扱いについては後述いたしますので、まずは完全予約制についてのお話を進めてまいります。
みなさんは「完全予約制」と聞いたらどのようなイメージをお持ちですか?
私が休日にiPadを持っていってコーヒーとポテトで粘りながら文章を書いたりブログを書きためたりしているお店に「マクドナルド」があります。
もちろん予約は不要。
当たり前ですよね。
行きたい時に気軽に行って、もし混んでいたら行列に並んで欲しいものを買って食べたり飲んだりするのがファーストフードです。
ファミレスもそうですよね。
そのかわり座席は早い者勝ちで味もメニューもそれなりということになります。
それとは反対に、1年に1回か2年に1回しか行かないお気に入りのお寿司屋さんがあります。
ここは完全予約制でしかも紹介がないと、一見さんは入店すらできません。
ただしお料理は絶品で、おもてなしもしっかりとしています。
お店のしつらえも高級感があり特別な日に高めのお金を払って食べる価値のある空間になっています。
そして予約をしていますから待たされることはありません。
みなさんもこのようなお店でお食事を取られることがありますよね。
このようにマクドナルドとお寿司屋さんでは客層も違いますし、利用する場面も全く違います。
これを治療院に当てはめて考えてみたらどうでしょうか。
・マクドナルドは保険をメインで扱っている予約不要の整骨院。
・お寿司屋さんは自費治療専門で完全予約制の整骨院。
このように当てはめることができませんか?
予約不要の整骨院には、慰安目的でいつでも気軽に安い料金で治療を受けたいという層の患者さんが多くやってきます。
その中には先生方があまり診たくない患者さんも多くおられるでしょう。
「第14回 自院に合った診たい患者さんだけが集まる自費治療」で述べたように実際に私の院ではそうでした。
しかし今では診たい患者さんだけが通ってきてくれる整骨院になりました。
これは今後長く仕事を続けていく上でとても大きな違いです。
「完全予約制」というルールが最初のフィルターとなっているので、「今すぐ、気軽に」という患者さんが最初から私の院を選ばなくなります。
さらに「自分の体を計画的にしっかりと治したい」という私の院に合った患者さんだけが来てくれるということになります。
ところで先生方は「予約優先制」と「完全予約制」では患者さんが受けるイメージはどう違うのかお考えになったことはありますか?
「予約優先制でも予約は受けるんだからわざわざ完全予約制にしなくてもいいんじゃないか?」とお考えの先生もおられるかもしれませんね。
私自身も最初は全く同じことを考えておりました。
実際に当初は「予約優先制」を看板に掲げておりましたから・・・。
でも実は「予約優先制」と「完全予約制」にはとても大きな違いがあるのです。
患者さんからすれば「予約優先制」ということは、予約しなくてもいけるんやろ?ということになりますので、予約する患者さんはおりますが、結局今までと全く同じように予約なしで来る患者さんがいなくならないということになります。
それでは目的を果たしませんよね。
そして単なる「予約制」ではなく「完全予約制」とうたうことにも大きな意味があります。
「完全」という二文字があるだけで一気にハードルが上がるからです。
実際にうちの院でも駐車場まで車が入ってきて、看板に大きく書いてある「完全予約制」の文字を見て引き返す方もたまにおられます。
患者さんが受けるイメージは全然違いますので必ず「完全予約制」と表記しましょう。
前回までのお話で私の院でも時間表記をすぐにやめたとお話ししましたが、この「完全予約制」については私もできないと思いこんでいた時期がありました。
・あのいつも来てくれる患者さんって、忙しいから時間が空いた時にしかこれないのに完全予約制にしたら無理や。
・院の中に患者さんがいない状態の時に「今からいけますか?」と患者さんが来られたら断れんなあ。
・完全予約制にしてしまったら誰も来なくなるんじゃないか?
このように考えていました。
だから完全予約制に移行するまでは悩んだ期間が長くて、結局は半年以上かかったのです。
しかしこの「完全予約制」こそが自費治療専門院に変えていくための最大の難関にして最大のポイントだったのです。
自費でも治療を受けたいという患者さんは、計画的に治療を受けられる患者さんですよね。
忙しいから時間が空いた時に治療を受けたい、という患者さんは結局のところしっかりと治す気持ちが薄いということです。
なぜなら本当に治したいのであればスケジュール帳に治療の予定を優先的に入れるはずですから。
本当に忙しい患者さんは完全予約制のほうが予定が組めるので助かる訳です。
また「いつでも、気軽に、時間が空いた時に」という方は自費治療のターゲットの患者さんではありません。
私も今なら理解できるのですが、当初はこれが理解できずに半年間も完全予約制にできずにいたという訳です。
ですがこのポイントをクリアすれば自費治療院への道は一気に開きますので、それこそ計画的に完全予約制に移行していきましょう。
例えば3ヶ月とか半年を期限として「令和2年の8月から当院は完全予約制になります。」というお手紙を既存患者さんに送るというのもいいですね。
今来られている患者さんには口頭で説明して、地道に案内をしていきましょう。
私が完全予約制にするときに患者さんに送った手紙や伝えた内容は次の通りです。
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〇完全予約制の導入について
①今まで以上に治療の質を上げるため完全予約制とさせていただきます。
そのために昨年5月から実施している「完全予約制」を徹底させていただきます。
また、初診の方や2ヶ月以上空いておられる方の受付は1日3名様限定とさせていただきます。
1日の人数に制限を設けることで治療の質を今まで以上に保つことができます。
完全予約制にすることで「思いついた時にすぐ受診する」ということができなくなりますが、治療の質を優先させていただきましたのでご理解くださいませ。
(ただし急患はこの限りではありませんのですぐにご来院ください。)
②無断キャンセルはキャンセル料がかかることがあります
当院では国家資格者である私が責任を持って治療に当たっていますので、1日に治療できる人数に限りがあります。
そのため、直前でキャンセルをされますとその時間に治療を受けたかった他の患者さんが治療を受けられなくなり大変迷惑します。
一人でも多くの方の役に立ちたい一心で治療に当たっていますので、予約のキャンセル、時間の変更は出来るだけ早めにご連絡下さい。
また無断キャンセルは本当に困りますので次回以降の治療はお断りさせていただく場合がございますのでご了承ください。
なお、無断キャンセルにつきましては、キャンセル料(施術料の100%)がかかることがあります。
(ついうっかり忘れていたということもあると思いますので、もちろんその場合は考慮致します)
完全予約制は皆さんのご協力のもとに成り立っていますのでご協力頂けると助かります。
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このようなお手紙を用意して送って周知しておけば、そのルールに合う患者さんだけが来られます。
さらに予約して来てくださる患者さんが、先生方が診たい患者さんであることがほとんどです。
完全予約制へのハードルは高いように見えて実は順を追って移行すれば、そんなに高いハードルではありません。
必ず移行してよかったと思えますのでぜひ実現させてくださいね。
以上が誰でもできるスムーズな完全自費移行までの2番目のステップです。
次回は「自費治療専門院に生まれ変わるための徹底した整理整頓」です。
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