ステップ5・・・保険患者さんが自費治療を受けてくれるの?
前回までのステップでは院の環境だったり予約システムの整備などをお伝えしてきました。
今回は誰でもできるスムーズな完全自費移行までの5つ目のステップのお話しで、現在通院されている保険患者さんや、昔から長く通院されている保険患者さんを自費移行の際にどうすればいいのかという問題についてお伝えします。
「保険の患者さんが自費での治療をはたして受けてくれるだろうか?」
これは当初に私も疑問に思ったことですが、皆さんも同じように思われているのではないでしょうか。
今現在、保険治療がメインの院の先生方の院には当然ですが保険の患者さんがたくさん通われていると思います。
毎日何十人も、場合によっては1日に100名を超える患者さんが来られている院の先生もおられるかもしれませんね。
自費治療に移行するにあたって、
「この保険の患者さんたちが自費治療を受けてくれるのか?」
「自費移行したら引き続き通ってくれるのか?」
はとても気になるポイントだと思います。
先生方の院にはきっと長年通ってくださる患者さんもたくさんおられますよね。
子供の頃から院に通ってくれていて、高校、大学、社会人となり、結婚を経て子供ができて、その子供さんもまた整骨院に通っているという場合もあると思います。
家族ぐるみで付き合いのある患者さんもおられるでしょう。
自費治療に移行していくということはそのような長年お付き合いのある患者さんに対して
「もう保険治療はできないんです。これからは自費治療で対応させていただきます。」
こう伝えていかないといけないのです。
伝えにくいですか?
そうですよね。
私も自費に移行する初期段階ではとても言いにくかったことですのでお気持ちはよく分かります。
ですがそもそもが慢性症状の患者さんばかりで、保険治療が適用できる症状の患者さんは少ないはずですから、これはしっかりと伝えていかなくてはなりません。
むしろ長年お付き合いのある患者さんにこそ、
違法な状態を解消するためになるべく早めに自費治療に移行してもらう必要がある
と思います。
長年通院されている患者さんがもし慢性症状をお持ちなのだとしたら、真っ当に自費治療を受けてもらえばいいんです。
でもそこが一番難しいんですよね。
なぜ難しいと感じてしまうかというと、
・自費での治療なんか断られるに決まっている。
・治療費が高くなったら払ってもらえないんじゃないのか。
・あの患者さんって年金暮らしだから自費治療は無理じゃないか。
・きっと断られてよその院に行ってしまうに違いない。
このように考えてしまうからではないですか?
でも大丈夫です。
なぜなら先生方が長年の修行の上に習得した治療法や手技は、自費でも受けてもらえるレベルのものであるからです。
そして自費治療に完全に移行したら、保険治療を受けていた患者さんがそのまま残ってくれる確率は20%までです。
もし、半数以上の保険患者さんが自費治療に移行してくれたとしたら、それは先生のお人柄も含めて今まで提供してきた治療技術が素晴らしかった、ということだと思います。
ほとんどの患者さんは自費治療に移行してくれません。
どんなに家族ぐるみで長年通っていたとしても、です。
つまり現在、先生方の院に慢性症状で通っている保険患者さんは、先生の治療だから通院しているわけではないということです。
言い換えると高額な自費を払ってでも受けたい治療ではないということになります。
正確にいうと
「先生方が目指すべき自費移行のターゲットの患者さんではない」
ということです。
少しショックですよね。
私も当時はショックでした。
「第11回 患者さんに投げつけられた保険証と離れていくスタッフ」でもお話ししましたが、私もとても気心が知れたと思っていた患者さんに
「お前のところは安いから来ていたんや。高くなるならもうええわ。」
と診察券を投げつけられて帰られたというショッキングな経験もあります。
逆に
「この患者さんって確か年金で暮らしているし自費治療にしたら来てくれないだろうな。」
と思っていた患者さんが、今でも定期的に通院してくれているということもあります。
自費で通院するかしないかを最終的に決めるのは患者さん本人です。
ですからどんなに長い付き合いだろうと家族ぐるみだろうと、先生方の治療を必要としている患者さんは継続して来院されますし、そうでない患者さんは来院されなくなります。
ファミレスでご飯を食べている人にむかって
「回らないお寿司を食べに行きませんか?」
と言うようなものですので、それは辛いかもしれませんが仕方のないことだと思ってください。
次に「保険患者さんのほとんどが自費治療を受けないとしたらどうしたら良いんですか?」という疑問もおありだと思います。
これは私も同じことを思いました。
答えは簡単です。
自費治療を受けてくれる患者さんに来てもらうことに注力するということです。
自費治療に移行した後は、新規の患者さんは全て自費での治療に切り替えましょう。
新規の患者さんに問診をする前に
・今日は初診料が2,000円で施術料が6,000円なので8,000円(税抜き)です。
・次回からは1回6,000円(税抜き)です。
・2ヶ月以上開いた場合は再診料1,000円(税抜き)をいただきます。
と説明すれば良いだけです。
私が自費に移行したばかりの頃は、健康保険が使えると思って来られる患者さんもいましたので、施術料を説明したら
「保険が使えないんだったらいいです。帰ります。」
という方が何人もおられました。
実際にこう言われると、せっかく来られたのに帰ってもらうのは私もちょっと気が引けました。
もちろんその中でもしっかりと説明をしたら自費治療を受けてくれる患者さんもいますから、むやみやたらに帰ってもらうわけではありません。
しかし自費治療の内容や目的をお伝えしても「治療を受けずに帰る」という選択をする方は、私の院のターゲットの患者さんではないということですのでそのままお帰りいただきました。
無理やり自費治療を受けさせてやろうと思う必要もありません。
もちろん今では自費治療だということをホームページでも明確に書いてありますので、保険患者さん(保険を使って安くもんでもらおうと考えている患者さん)が来ることは全くなくなりました。
このように、慢性症状で現在来られている保険患者さんを全て自費治療に移行させるのではないということです。
・しっかりとした説明をした上で自費治療を受けてくれる患者さんには残ってもらう。
・自分の院のターゲットの患者さんではない方には他所へ行ってもらう。
・新たに自費治療を受けてくれる自費の患者さんを少しずつ増やしていく。
このようなことが大事なのです。
次に実際の自費治療についてどう治療していくのかを具体的にお話ししていきますね。
まず現在の保険治療をみていきましょう。
私の院が保険治療をしていた頃は、
・手技治療
・電気治療
・ウォーターベッド
これがセットになっていました。
一部位の患者さんも二部位の患者さんも同じ流れです。
新規の患者さんは少しだけ長めの問診をしてから治療に入ります。
既存の患者さんは二言三言会話を交わして状態を確認してから治療に入ります。
この程度の内容でしたので、これに近いオペレーションの先生も多いかもしれませんね。
当時の手技治療は、1人当たり約15分~20分程度。
電気治療は電極をセットしてから10分~15分程度。
ウォーターベッドは約10分程度。
ですから会計を含めると、患者さんの滞在時間は合計で長けれは50分程度でした。
これで窓口負担金は300円~600円くらい。
健康保険も含めた患者さん1人当たりの単価は1500円程度でした。
この保険治療に加えて行なっていたのが、保険治療+自費治療です。
この方法が良いかどうかは別として、保険治療+自費治療を行なっている先生も多いでしょうね。
・保険治療に追加の手技でプラス1,980円
・保険治療に追加の超音波複合治療器でプラス1,000円
こんな感じで患者さんの単価を上げられるように、自費治療を追加で行なっていました。
ベテランの先生が治療経験も豊富で技術レベルも高いのに、その技術で保険治療をしているということもあるかもしれません。
もちろんそれを全て否定するわけではありませんが、非常にもったいないと感じてしまいます。
保険治療の内容がすでに自費治療としてお金をいただけるレベルの先生が多いのではないでしょうか。
一方では街に溢れているリラクゼーションや無資格の整体院は全てが自費での施術が当たり前ですよね。
先生方が長い間の修行期間で得た治療経験や臨床経験もそうですが、いろいろな治療系のセミナーで学んだ技術や磨いた技術は街のリラクゼーションよりも貴重な技術のはずです。(リラクゼーションを否定するわけではありません)
臨床経験が20年や30年もあって、様々な症状に対応できる高い技術力は自費治療としてしっかりとお金を頂くべきです。
ですので、最初は保険治療に自費治療をプラスする方法でも構わないと思いますが、せっかく身につけた高い技術は正当な報酬を頂けるように完全な自費治療にシフトしていくべきだと私は思います。
以前も述べましたが、院を運営していくにはお金が必要です。院が立ち行かなくなれば、困るのは先生方だけでなく、本物の治療を受けられなくなる患者さんも困るのですから。
次回は「交通事故の被害者の患者さんの扱いはどうするの?」です。
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参考になります。
が、技術に自身ないから保険かなあ
どうしましょう?
コメントありがとうございます。来られている患者さんの症状が良くなったり喜ばれることは何度もあると思います。それは先生に技術があるからだと思います。きっと大丈夫ですよ。
勇気づけられる言葉ありがとうございます!
未知の世界に一歩踏み出すのは誰でも勇気がいるものです。
私もたくさんの方に助けられて今があります。