ステップ6・・・交通事故の被害者の患者さんの扱いはどうするの?
前回のステップでは自費移行する際の健康保険の患者さんの扱いをお伝えしました。
今回は誰でもできるスムーズな完全自費移行までの6つ目のステップのお話しです。
「交通事故でケガをした自賠責保険の患者さんが自費での治療をはたして受けてくれるだろうか?」
自費移行に関して次に皆さんが疑問に思うことはこの点かもしれませんね。
交通事故によってケガをした、またはケガを負わされた患者さんは、通常は自賠責保険を使って治療を受けられることが多いと思います。
事故の種類や当事者の立場によっては「第三者行為の傷病届」をして健康保険を使って治療することもありますが、多くは自賠責保険です。
ご存知の通り自賠責保険を使って治療をするのは基本的に自由診療となります。
そしてそれは一般的な保険会社の支払い基準に沿ったとしても、通常の健康保険での治療よりも治療費はかなり高く請求ができます。
簡単に言うと交通事故の患者さんが来てくれたら売り上げが上がるということです。
場合によったら1人の患者さんに対して1ヶ月で10万円くらいの治療費を請求できることもあるのではないでしょうか。
金額だけをみると単純に考えて、言い方は悪いですがとても「おいしい」仕事となります。
だから
「交通事故0円」
「交通事故の方はいつでもご相談ください」
「窓口負担金ありません」
「交通事故の方は特別に時間外でも診療します。」
このように書かれた大きな看板を掲げたり、それを一押しみたいに宣伝している院も多いのでしょうね。
そして自賠責保険を扱うことを単純に考えている人からすれば「おいしい」仕事だから間違いを犯して摘発されてしまう人もいるということなのでしょう。
つい先日も大きな不正で摘発された柔道整復師がニュースになっていました。
この先、交通事故患者さんを柔道整復師が扱うべきなのかどうかの議論もあるようですが、この辺の問題は今回の自費移行には直接は関係しませんので割愛させていただきます。
今回は
交通事故の患者さんが自費治療を受けてくれるのかどうか
交通事故の患者さんの扱いをどうするか
に絞ってをお話ししたいと思います。
実は、私が自費移行した当初は売り上げの半分以上、約55%が自賠責保険の患者さんによるものでした。
自費移行する前は、健康保険の患者さんよりも交通事故の患者さんが多く通われていたということです。
一番多いときは1ヶ月で25名の患者さんが通院していた時期もありました。
想像していただいたらどの程度の売り上げがあったのか分かると思います。
当時の交通事故の患者さんの売り上げを考えたら、全てを自費治療に移行することは本当に悩みましたが、今では全く後悔していません。
むしろ自費に移行して本当に良かったと思っています。
とは言え、売り上げの半分以上を占めていた交通事故の患者さんをいきなりゼロにして全て自費治療に移行した訳ではありませんので、その順番をお話しいたします。
(1)通院中の患者さんは責任を持って治療する。
まず、自費に移行すると決めた時点で通院していた自賠責の患者さんは治癒するまで通ってもらいました。
一度受けた以上は、症状が良くなるまでは責任を持って治療にあたりました。
(2)新規の交通事故の患者さんは受け付けない。
次に、新規の自賠責の患者さんは受け付けないようにしたのです。
新規の問い合わせがあると
「交通事故のケガでも自費での治療になりますがよろしいですか?」
とお電話でお伝えしました。
そうすると100%の方が
「じゃ、いいです。」
となりますので、新規の患者さんはゼロになりました。
保険会社の担当者からお電話があっても同じ対応としました。
つまり3ヶ月くらいかけて段々と減らしていったのです。
「第12回 自費移行で避けては通れない交通事故治療の取り扱い中止」
でも触れましたが、自賠責の患者さんが大勢来られていた頃は予約を入れていてもドタキャンが多くありました。
「予約していたけど行けなくなりました。明日に変更してください。」
などといって本当に気軽に予約変更されることも日常茶飯事でした。
ひどいときは連絡もなしで来ないということもありました。
急用ができて変更、急病で変更というのは当然あると思いますので、完全予約制に移行した現在でもそれは全く問題ありません。
しかし、同じ人が何度もドタキャンする、毎回変更するというのは普通ではありません。
私の院は、自費移行した当時から完全予約制にしていましたので予約枠が限られていますよね。
自賠責の患者さんを受けていたために、お断りをしないといけない別の患者さんがいるのに、ドタキャンや無断キャンセルが起こっていたのです。
これが私の大きなストレスになっていました。
そこで自賠責の患者さんが減るとどうなったでしょうか?
当然、一時的にその分の売り上げは減ります。
しかし今まで自賠責の患者さんを受けていた予約枠が当然空いてきます。
約束通りに来るかどうか分からない予約を断って、予約枠を空けたわけですから。
特に夕方の6時から7時頃、お仕事帰りに気軽に寄りたいとという自賠責の患者さんが集中していた時間帯の予約枠に余裕ができました。
ですからそこに自費の患者さんの予約を受けることができるようになったのです。
・怪我をしていたとしても自分で治療費は払わずに気軽に治療を受ける人。
・自分で治療費を支払って計画的に治療を受けたいという人。
治療家としてこのどちらの予約を優先すべきかは明らかですよね。
私は私の診たい患者さんを優先しました。
ですから私は自賠責の患者さんはお断りをして、自費でしっかりと治療を受けたいという患者さんを優先したのです。
冒頭の「自賠責保険の患者さんが自費での治療をはたして受けてくれるだろうか?」
という疑問の答えは「ノー」です。
少なくとも私の院では1人もいません。
もちろん数年前の事故のケガの後遺症や、示談をした後の後遺症の治療に自費治療を受けに来られる方はたくさんおられます。
私はそのような後遺症に悩む患者さんを含め、自費での治療を希望される患者さんが「診たい患者」さんでしたので、今はそういう意味でのストレスは全くありません。
自費に移行するにあたって、健康保険だけでなく自賠責の患者さんも減らしていくということは、同じくらいとても大事だということを覚えておいてください。
次回は自費移行のステップのまとめです。
「整骨院完全自費化スクール」ではLINEからのお問い合わせも可能になりました。
友だち追加はこちら↓