第1回 自覚のない不正とは。その請求は本当に急性のケガですか?

あなたは開業して20年になる整骨院の院長です。

ある日、あなたの整骨院に30代の男性患者さんが来られました。

 

学生時代から続けているサッカーを社会人になっても趣味で続けているという、仕事も趣味も両方頑張っている方です。

 

お話を聞いてみると、どうやら一週間前に足の太ももを痛めたようで左足を少し引きずりながら歩いています。

サッカー部に所属していた学生時代に腰を傷めて、それ以来20年近く慢性的な腰の痛みに悩まされているということも分かりました。

営業職なので、毎日の長時間の運転中の姿勢によって腰が辛いし、会社に戻ってからのパソコン作業も座りっぱなしで腰が痛むということまで話してくれました。

 

あなたはそこでまず、いつものように左足の太ももと腰に干渉波を当て超音波を当ててから、さらに腰の筋肉を緩めるような施術を行いました。

そして治療後には、保険治療をしている先生方が毎日当たり前のように処理している保険患者さんのレセコン入力で、きっとそこにはこう入力していることでしょう。

「腰部捻挫」

「左大腿二頭筋挫傷」

いかがですか?

よくあるケガの入力ですよね。

よくありすぎて、この傷病名を見ても特に何も感じないと思います。

カルテには腰と左の大腿部に丸印をつけますよね。

発生機序には「○○川の河川敷のグラウンドでサッカーをしていて、対戦相手と競り合ってボールをヘディングしようとジャンプした際に、左大腿二頭筋が急に遠心性収縮をして挫傷した。同時にその左大腿二頭筋の痛みによって空中でバランスを崩してしまい、バランスを崩したまま着地した際に左足からの介逹外力が左骨盤に伝わり、その左側に偏った外力によって胸腰部をひねって腰部を負傷し捻挫した。」みたいな記載をしていますよね。

 

これで「大腿二頭筋挫傷」「腰部捻挫」の2部位の負傷です。

急性のケガということで保険者にも一応説明がつく形になりますし、実際にそういった発生機序で体を傷めたという患者さんもいるかもしれません。

でもそのサッカー選手の腰痛はもともと20年来の慢性的な症状でしたよね?

 

特に試合で傷めてないけど、昔からいつも腰が痛いという患者さんに良かれと思って一緒に治療してしまいましたよね・・・。

それなら保険適用の症状にはあたりませんから柔道整復療養費を請求したらやっぱりダメです。

これが自覚がないまま不正をしてしまう代表的な例です。

そしてそもそもあなたの整骨院に来ている患者さんは、全員がそんな急性のケガの患者さんばかりでしょうか?

そんなことはあまりないと思います。

 

一生懸命治療してレセコンで入力してカルテ書いて辻褄合わせてレセプト提出して保険で全く問題なく処理されたとしても、「急性のケガ」じゃない患者さんに保険治療をしてしまうということが自覚のない不正ということになります。

大事なことなのでもう一度言います。

知らない間に不正に関わってしまっていることの代表的な例が「急性のケガ」以外に保険を適用するということです。(知らない間にということ自体もどうかと思いますが・・・)

 

ここで

「え?何がダメなん?」

「カルテが全てでしょ。」

「審査が通っているんだから何も問題ないよ。」

と思ったあなたはもうかなり感覚が麻痺してしまっているかもしれません。

 

ひょっとしたら「私は患者さんのためを思って色々と手を尽くしているんだ!それなのに不正を疑うとはどういうことなのか。あなたはなんてひどい人なんだ。」と逆にお考えになるかもしれませんね。

そうなったら本当に手遅れです。

あまりにも日常的で昔から行なっていたとしたら、それが慣れていればいるほど無自覚になってしまっています。

こうなると嘘をついている自覚がありませんので、間違った方法をとっているという認識もありませんが、結果的に人を騙してしまうことになってしまいます。

 

さて、ここまで読んで「はっ!」と気づいた先生方はまだマシです。

 

恐ろしいのは「私は患者さんのために安い料金で肩こりや腰痛が楽になるようにマッサージをして電気まで当てている。患者さんも喜んでいるし、体の調子も良くなっている。せっかく来てもらったんだからついでに腰の治療も一緒にしたのが何が悪いことがあるのか!」と思ってしまう先生がいるということです。

 

こういう先生には「急性のケガにしか使えない柔道整復療養費を、間違った方法で慢性症状に適用している」という自覚がありません。

 

そういう困った先生は置いといて、

「そろそろ保険治療はまずいなあ」

「本当は急性のケガの患者さんなんかほとんどいないのに、急にその調査が入ったらどうしよう。」

「摘発などされたら妻や子供に顔向けできない。」

と感じているまだまともな感覚がわずかでも残っている先生方は、今が最後のチャンスです。

 

レセプトの審査が通ろうが通るまいが、今一度本来の柔道整復療養費を扱えるという柔道整復師の存在意義を考え、もう待った無しとなった違法な保険治療から足を洗うタイミングは今しかありません。

このまま自覚のない不正を続けて監査を受けるまで今のままの方法をとり続けますか?

それとも名誉ある柔道整復師ですか?

(柔道整復師 田口誠二 監修)

 

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