第2回 レセコンを「ポチっ」と押すたび水増しに。 置き換え請求もやってしまっていませんか?

さて、昨日は「急性のケガ」ではない症状を保険請求してしまうということについて書きました。

 

今日はレセコン の取り扱いについてです。

 

実は私自身も開業当初はレセコンを使っていたことがあります。

ある請求代行団体に所属していましたので、その団体が指定するレセプトコンピューターを購入し、実際にそれを使用をしていました。

 

柔道整復師の先生方のみなさんはご存知の通り、レセプトコンピューターは通称「レセコン」と呼ばれ、個人請求をされている先生方も含めて保険治療を扱う整骨院、接骨院ではほとんどの院で導入されています。

 

 

そしてこのレセコンが柔道整復師が陥ってしまう間違いの温床

になってしまっている現実があります。

 

新規の患者さんが来られたら、まず問診票に個人情報と主訴を記入してもらいます。

いつ、

どこで、

どこを、

どうやって傷めたか、

またはどのようにしたら痛みが強まったり

辛くなる肢位はどんな肢位なのかを

細かく書いてもらいますよね。

 

受付スタッフや事務スタッフがいる院でしたら、先生がその患者さんを治療中にスタッフがレセコンに入力している院もあるかもしれませんね。

 

一人院でしたら治療後またはお昼休みや診療時間が終わった後に、先生が問診中や治療中に聞いた情報も加えて直接レセコンに患者さんの情報を入力しているでしょう。

 

まずは保険種類。

国民健康保険なのか、

後期高齢者なのか、

社会保険なのか、

共済なのか

組合なのか

を患者さんの保険証をコピーしたものを見ながら、

記号、番号、続柄などを入力します。

 

そして患者さんの氏名、

生年月日、

性別、

電話番号、

郵便番号、

住所、

職業なども入力しますよね。

メールアドレスや携帯電話番号の入力もあるかもしれません。

 

さらに医療助成がある場合はその区分も入力して、負担割合は自動で入力されても確認しておかないとおかなければいけません。

 

保険証をスキャナーで読み込んで自動的に入力してくれるレセコンもあるようですが、ここまでの段階でもかなり手間がかかります。

 

次に負傷名です。

1部位はもちろん2部位以上でしたら

部位ごとに負傷名、

負傷日、

初見日、

発生機序を細かく入力します。

もちろん急性のケガについての入力です。

やっぱりかなり手間がかかります。

 

問診して慢性症状と判明して自費治療を勧めて、患者さん本人が拒否をした場合は

「施術なし」

という入力もあったはずですが、今回は急性のケガをした患者さんという前提で話を進めますね。

 

例として「1-1  自覚のない不正とは。その請求は本当に急性のケガですか?」の

サッカーで太ももを傷めたという患者さんを

柔整太郎さん、

38歳、

会社員、

保険者は「全国健康保険協会 香川支部」

としましょう。

怪我をしたのが4月1日、

サッカーをしていて左の太ももを傷め、もともと痛かった腰の痛みもさらに辛くなったという患者さんです。

 

さて入力も終わり、治療も進み、この柔整太郎さんは順調に回復されたので2週間後の4月15日には治療を終了し、レセコンに転帰を入力することになりました。

 

治療の最終日には当初の1割以下程度しか症状がありませんでしたので、「治癒」と入力しました。

 

転帰を入力しておかないとレセプトが返戻になるので大事ですね。

 

柔整太郎さんの治療は

4月1日が初見日で3日~6日と10日、

15日の合計7日間の治療でしたが、

先生はついでに12日のボタンもポチッと押してしまいました。

本来なら合計7日間の治療が、

マウスの左ボタンを人差し指でポチッと押すだけで、

その0.1秒にも満たない行為により

1日分の水増し請求になるのです。

 

作業はごく簡単です。

しかしお分かりだと思いますが絶対にしてはいけません!

 

さて、この柔整太郎さんは先生の整骨院と先生の治療にとても満足されていて、今度は元々あった

「肩こり」

の治療を続けたいと希望されました。

そのまま健康保険で・・・。

まあ、患者さんがこう思うのは仕方ありません。

 

一般の方は保険の仕組みやルールをよく知りませんから、

1回数百円で治療してもらえて肩こりがスッキリするなら続けたい

と考える人は少なくないと思います。

 

ですが先生方全員がご存知の通り、

もちろん肩こりの治療には健康保険を使うことはできませんので、

それ以降の治療は全額自費で行うことをお伝えしなければいけません。

 

冷静に考えれば当たり前ですよね。

 

「今月は患者さんが少ないなあ。」

「二ヶ月後に振り込まれる療養費も少ないだろうなあ。」

「もう少し売上が欲しいなあ。」

 

このように考えた結果、安易に「右肩関節捻挫」という負傷部位を追加して治療をしてしまうとどうなるでしょう。

 

患者さんは今まで通り数百円で治療を受けることができることになります。

 

そして先生方は保険者にレセプトを提出することで、療養費を受け取ることになります。

 

これがいわゆる「置き換え請求」ですよね。

 

さらに、症状が改善した後に、別の負傷部位に変更して治療を続けることが「部位転がし」です。

「部位転がし」ってデジタル大辞泉にも載っているんですよ。

辞書を開くと、

「公的医療機関」おける療養費の不正請求の手口。柔道整復師が、同じ患者に対して、治療部位を次々と変えて保険対象外の施術を繰り返し、これを支給対象となる症状に対するものと偽って、保険者に請求する行為をいう。」と書いています。

 

これらはいずれも偽って請求していますからダメな行為ですよね。

すでにレセコンにかなりの手間をかけて患者さんである太郎さんの患者情報が入力されているからといって、

先生が安易にポチっと2部位目を入力して、

適当に受傷日や初見日や発生機序を

それらしく入力するその行為はアウトです。

 

患者さんの柔整太郎さんも

よくわからないうちに不正に関わってしまっている

ということになります。

 

これは非常に迷惑な話です。

今まで何度もニュースなどで見かけたことのある

「水増し請求そして置き換え請求に部位転がし」

による保険対象外の施術の保険請求は一刻も早く改めなければいけません。

 

レセコン上で指一本で簡単にできてしまう作業だからこそ、水増しや部位転がしはダメなんだと日頃から強く認識しておかないといけないのです。

あなたも「ポチッ」とやってしまっていませんか?

 

次回、第3回は「まだ大丈夫ではありません」です。

(柔道整復師 田口誠二 監修)

 

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