前回までのブログでは保険治療の問題点や自費移行のメリットをお伝えしてまいりました。
ここからはスムーズに自費移行ができるポイントをステップごとに分けてお伝えいたします。
・ステップその1
「20分1000円」と「20分6000円」日商が高いのはどっち?
・20分追加施術
・60分全身マッサージ
・15分フットマッサージ
このようなメニューは街中の看板でもよく見かけると思いますし、実際に取り入れている先生もおられるかもしれませんね。
実際に私の院でも過去に導入しておりました。
「第11回 患者さんに投げつけられた保険証と離れていくスタッフ」で少し書きました通り、私の院の自費化の一番最初のステップは時間表記をやめることでした。
患者さんにとっては、
「20分マッサージしてくれるのか。」
「いまから60分か。」
このように所要時間としては分かりやすいサービスでもあるかもしれません。
しかし私たちにとってはその表記されている時間はきっちり拘束される訳です。
1日は24時間というのは変わりません。
寝て起きてご飯を食べてといった普通の生活をしている以上その1日の中で働くことができる時間も当然限られています。
診療時間も同じですよね。
・午前診は朝の9時からお昼の12時まで
・午後診は3時から夜の8時まで
このような感じで診療時間はだいたい8時間くらいのところが多いのではないでしょうか。
もし1人に60分かけていたらどんなに頑張っても1日に7人しか診れません。
無理やり8人診れるかもしれませんが現実的ではありません。
そうすると1日の売り上げの上限が低いレベルで決まってしまいます。
「結局お金か」とお感じの方がおられますか?
お金がないと院を維持できません。
院を維持できないと困るのは、先生方やご家族だけではありませんよ。
先生を信頼して、体の痛みや不調を治したくて治療に通う患者さんも困ります。
そうならないためには「お金」「売り上げ」は大事です。
当たり前ですね。
話を戻します。
治療費を仮に1人5,000円とすると、5,000円×7人=35,000円
診療日が月に20日とすると、35,000円×20日=700,000円
1人がどんなに頑張って患者さんが途切れずに毎日朝から晩まで働いたとしてもこの上限は変わりません。
実際にはこのように稼働日の朝から晩まで毎日全て施術で埋まるということは無いと思いますので、もっと売り上げは低くなります。
もちろん単価がもっと高い場合もあると思います。
さらに毎日患者さんで埋まっているという先生もおられるかもしれませんが、それはほんの一部の先生の院だけだと思います。
ここで重要なのは時間を明記するということが、簡単に先生方の限界を決めてしまうということなのです。
私が尊敬する先生の中には施術が10分以内で1回1万円の治療をされる先生がおられます。
場合によっては1時間に8人診ることもあるそうです。
なぜそんなことが可能なのかというと、施術時間を決めていないからです。
もちろん治療技術が高いという大前提はありますが、5分くらいで終わる患者さんもいるのでこのような施術が可能になるのです。
ちなみに私の院は基本的に1つの予約枠は30分で、1時間に2人診るようにしています。
30分枠ですが治療時間が30分というわけではありません。
治療時間は患者さんにもよりますが、実際に患者さんの体を触ったりして治療する時間というのは、平均では10分~20分以内くらいでしょうか。
私の院は朝の10時から夜の9時までお昼休み無しで開けていますので診療時間は11時間。
最大で22人診ることができます。
治療費は1回6,600円ですから、6,600円×22人=145,200円となります。
もちろん私の院において、実際に予約枠が1ヶ月まるまる全部埋まることはありませんが、週休2日で月に20日としても最大で2,904,000円という売り上げが可能という計算になります。
これはもし仮に◯◯分で◯◯円としていたら無理ですよね。
ここで冒頭の「20分1000円」と「20分6000円」日商が高いのはどっち?
という質問ですが、いかがでしょうか?
限られた時間の中で仕事をするのでしたら、「20分6000円」の方が日商が上がるのは間違い無いですよね。
保険治療の単価を仮に1人1000円だとしたら「20分1000円」で6000円の売り上げを上げるなら120分間治療する必要があります。
当然6倍かかりますよね。
「同じ仕事で価格が6倍だなんて詐欺みたい」とお思いのあなた、それはちょっと違います。
先生の関与時間が20分なだけで、
予備問診、
治療器具による治療、
フィードバックのヒアリング、
次回来院の日程調整、
お会計、
全てアシスタントスタッフの仕事ですが、これだけの手間と時間が実際にはかかります。
香川県のとある整骨院では、患者さんが来たら問診も何もなく、いきなりベッドに寝かされて電気を当てたら、そのあとは延々とマッサージをするそうです。
いまだにそんな院があることに驚きますが、ごく最近に知人が経験したことですので事実です。
これで健康保険が使えたそうですから、問診もないとすると完全に違法ですよね。
だって受傷機序も分からなければ受傷部位さえ分からないわけですから。
それが本当に患者さんのためになりますか?
次に時間を切り売りしている例をお話しします。
私の院の患者さんでリラクゼーションサロンのセラピストをしている方がおられます。
その患者さんにお話をお聞きすると忙しい日が続くと体が悲鳴を上げるといいます。
それはそうですよね。
60分で6,500円くらいの価格設定ですが自分の取り分は◯◯%。
(ここでは実際にお聞きしたパーセンテージは書けませんのでご了承ください。)
1日にこなせる人数はメニューにもよりますが7人~8人くらいですから、私の院に整体に通いながらじゃないと仕事ができない状態なのに、売り上げの上限は低いレベルで決められている訳です。
これではなかなかモチベーションを保つのも辛いですよね。
セラピストの方に実際にお聞きしてみたら
「一日は基本8時間勤務なので1時間コースで7人が限界。でも限界の7人をこなしたらかなりしんどいですね。」
とおっしゃていました。
このように時間を切り売りして売り物にしていると、頑張って仕事をしても体はしんどいけど思ったより売り上げは上がらないということになります。
ですから私が自費移行に取り組んだ一番最初にしたこと、
「時間の表記をやめる」
これをまずは取り組んでください。
これは今すぐできる自費移行の第1のステップです。
もし先生方の院にある治療メニューの時間の表記をやめた途端に、患者さんから
「何分してくれるん?」
「何分もんでくれるん?」
みたいな質問があると思います。
その時はその治療メニューで実際にかかる時間が20分だとしたら、
「15分~20分くらいですよ。」
と目安時間をお伝えしながら、その時間に幅を持たせるといいと思います。
「20分 3000円」だと必ず20分間は治療しないとウソをついたことになってしまいますが、時間の表記がなければ10分でも15分でも良いわけです。
もちろんしっかりとした説明と治療結果を出すというのが前提ですよ。
患者さんが満足する治療結果を出せば長く時間をかける必要などありません。
むしろ短い時間で効果を出した方が喜ばれます。
「とにかく長時間もんで欲しい」という治療効果も何も関係なく、ただただ慰安目的という方はそういうリラクゼーション系のお店を選択されるので特に問題はありません。
そして徐々にでも自費治療にシフトしていくと、治療計画をしっかりと決めて計画通りに治療を続けていきたいという患者さんが増えていきます。
なぜなら計画的に治療したい、しっかりと治したいという方が自費治療を受けてくださるからなのです。
「今日、今すぐ、とにかく安く、自分だけ特別に長く揉んでもらって、いつでも気軽に思いつきで治療を受けたい。」
という患者さんは保険患者さんに多くありませんか?
私が保険治療をしていた頃はそういった患者さんが何人かおられましたが、今では1人もいません。
ぜひ今すぐに時間表記をやめて、自費治療専門院への第一歩を踏み出してくださいね。
以上が誰でもできるスムーズな完全自費移行までの1番最初のステップです。
次回は第2のステップ「最大のポイント 完全予約制」です。
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