第10回 開業した私が「こんなはずじゃなかった」と後悔するまで

前回は柔道整復師を目指し専門学校へ入学し、資格取得後に開業をしたところまでお話しいたしました。

さていよいよ開業に向けて、高松市国分寺町にテナントを借りて準備を始めました。

そのテナントを選んだ条件というのは、当初は保険治療メインでやっていく気満々でしたので、

・患者さんが大勢来ても大丈夫なように駐車場が十分にあること。

・待合室で何人もの患者さんが待てるようなテナントの広さも十分にあること。

などでした。

 

開業する場所を決めるのが1番大きな問題だと思っていましたが、さらに大きな問題がスタッフの雇用でした。

開業後の業務については修行先での経験そのものをイメージしていましたので、次から次へと絶え間なく訪れる患者さんに対して次のような流れを想定しておりました。

・受付

・手技

・干渉波

・ウォーターベッド

このような順番で案内して、最後にお会計をしてお帰り頂くという一連のベルトコンベアー式の流れを想定していたのです。

 

その想定では絶対に施術スタッフを雇用しないと成り立たちません。

事実1人院では無理でした。

しかも開業から無謀にも「年中無休」で診療すると決めていましたので、スタッフは絶対に必要だったのです。

全くの異業種から飛び込んだ整骨院業界です。

私にその方面の人脈があるわけもなく、求人をかけたところで私のような未熟者の院長について来てくれるスタッフが簡単に見つかるわけもありません。

途方に暮れる間も家賃は発生しますし、開業予定日は近づきます。

開業資金を借り入れていましたが、開業しないことには資金がどんどん目減りしていずれ無くなってしまいます。

途方に暮れているところに、幸いにも専門学校のつながりで協力してくれる方、力添えしていただける方からお声がけいただき、柔道整復師のスタッフ2人を開業前から雇用することができたのです。

人と人のつながりが本当にありがたかった出来事です。

こうして2014年6月1日に保険診療がメインの整骨院「国分寺整骨院」の開業にこぎつけました。

 

開業後は順調に保険患者さんが増えていき、最初の1年間は文字通り私は1日も休まず業務にあたりました。

開業から4ヶ月が経った頃には1日に数十人の保険患者さんが来られ、交通事故関係では自賠責保険の患者さんも年中無休の噂を聞きつけて大勢来られました。

開業4ヶ月後の患者さんの割合は、

・半数が自賠責保険の患者さん

・半数が健康保険の患者さん

・ほんの一部の方が自費治療の患者さん

という状況でした。

 

そもそもが、自分自身の体の不調をきっかけに他の人の役にも立てるのではないかと思って整骨院を始めたのです。

 

ですが実際は、部位に関係なく期間も回数も考えずにマッサージ代わりに通ってくる保険診療の患者さんや自賠責保険の患者さんの対応に困るようになったのです。

・患者さんに来てもらわないと整骨院が成り立たない。

・そもそも急性のケガの患者さんがそんなにいない。

・ということは誰かがケガをしないといけない。

・マッサージは慰安目的になっていないか?

そんなことばかり考えてしまうほど頭の中が混乱していました。

 

何より本来の保険診療の意味から外れていってしまっていることに気づいたのです。

そして当時、亜急性のあいまいさが自分自身も患者さんも両方に混乱を招いていることにも気づきました。

こう考えたときに、だんだんと自分自身がその時の状況に耐えられなくなっていったのです。

さらに開業して4〜5ヶ月が経った頃からレセプトの返戻が増え始めました。

 

今から考えたら当然といえば当然ですが、患者さんが来たいときに来て、それをそのまま記録して請求していたのですから返戻されても仕方がありません。

そして4〜5ヶ月も前に一生懸命やった仕事の報酬が、のちに否定されて、その分のお金はもらえないということ自体に、強い違和感をもったということも大きかったのです。

もちろん保険制度に沿った運営をしていなかったと言われたらそれまでなのですが、他人に価格の決定権があり、仕事をしてもその分の報酬をもらえないというそんなバカなことはないと思ったのです。

これって下請けで奴隷労働して大変な思いをしていたあの時と同じだ、と。

あの頃もお客さんに価格決定権があり、仕事をしても正当な対価をもらえないこともあったではないか・・・。

嫌な記憶がよみがえり、そこからこのままではダメだと考え出して、自費治療への移行を意識するようになりました。

まさに自費治療への移行が急務だと考えたのでした。

とはいえ、専門学校時代は「整骨院は保険が使えるから大丈夫」と言われていましたし、修行中も保険患者さんが大勢来られていましたから、健康保険や自賠責保険を扱って行くことが当たり前だという考え方に染まっていました。

その状況で急に自費治療に移行しようとしたって何から始めていいか分かりません。

毎日の診療は続けなくてはいけないし、経費などの支払いも待ったなしです。

そうした中である日たまたま自費治療だけで診療をしているという整骨院の先生のブログを見つけました。

急性の怪我以外は全て自費治療。

交通事故の怪我も自費治療で行なっている先生が兵庫県の西宮市にいるということを知ったのです。

しかしこの時はまだ

「そんなことは自分にはできない。」

「これはこの先生だからできることなんだろう。」

「そんなことしたら患者さんが来るわけないだろう。」

と思っていました。

 

ただどうしても一度お話を聞いてみたくて、快くその機会を設けていただいたこともあり西宮市まで伺うことになりました。

 

次回は「患者さんに投げつけられた保険証と離れていくスタッフ」です。

 

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