第4回 追い詰められた柔道整復師。業務停止は10年間で171人に。

 

前回までのブログでは、当たり前になりすぎている柔道整復療養費の間違った取り扱いについて書いてまいりました。

ここからは3回に分けて柔道整復師や業界の厳しい現状について書いていきたいと思います。

 

「なんか接骨院ってたくさんあって、ネットで調べてもどこ行ったらいいか分からなかったです。」

これは先日、治療中に患者さんと会話していたときに言われたことです。

私が約6年前から整骨院を構えている高松市国分寺町だけでも7件、高松市だけでも整骨院、接骨院が約150件あります。

私が開業した6年前に比べても明らかに軒数が増えて続けています。

人口たった約40万人の高松市程度の規模でもこの数ですから、都市部では一つの商店街に何件も整骨院、接骨院がひしめき合っているのも珍しくはありません。

厚生労働省によると2016年の時点で全国には約6万4千人の柔道整復師がいます。

そして整骨院・接骨院の数は4万6千施設にものぼっていてコンビニの数より多いというのは皆さんご承知の通りです。

これだけ多くの柔道整復師、接骨院、整骨院が存在すると自然と過当競争が生まれます。

辞書を開くと「過当競争とは多数の同業種企業間の、適正な水準を超えた激しい経済競争。」と書かれています。

無理な競争は一部の人間によってどうしても適正な水準を超えてしまうということが起こります。

そして適正な水準を超えると起こることがあります。

 

1つは正当な企業努力です。

例えば保険患者さんが一度来院しただけで全員が2回目の来院がなかったとしたらやはり院経営は成り立ちません。

あなた方の周りに

「私は腕があるし治療がしっかりできるから全ての患者さんの症状を一回で全て治すことができる!」

という先生がおられますか?

いませんよね。

私の知り合いの先生には技術だけじゃなく本当にすごい先生がたくさんおられます。

でもやはり何度か来てもらってきちんと治療を受けてもらわないと本当の意味で症状が良くならないと思います。

そこで先生方は

「なぜ放っておいたら良くならないのか」

「なぜ続けて治療すれば良くなるのか」

を丁寧に説明するでしょう。

そして修行して得た治療法や勉強して得た知識、今までの経験などをできる限り生かして治療を行いますよね。

設備投資をして最新の機器を導入したり使いこなすことで治療効果をあげたり満足度をあげたりすることもあると思います。

 

これらは正当な企業努力です。

素晴らしいことだと思います。

合っているかどうかは別として、保険患者さんが通院しやすいように予約優先制にしたり、患者さんのために待合室にマッサージチェアを導入したりするのもそうです。

 

さらに、スタッフを雇っている院では院内で治療の勉強会を定期的に行ったり、外部の勉強会に費用を負担して参加してもらったりするのも正当な企業努力の一つですよね。

このように患者さんが自分の院に来ないことには院が成り立ちませんから、先生方は様々な努力を日々続けておられることだと思います。

私が知っている整骨院の先生の中にも、経営努力を惜しまない素晴らしい先生がおられます。

技術、経験、知識、経営努力と全てが上なので、そんな先生方にはどうやってももうかないません。

 

 

一方で無理な競争である過当競争が生まれると、正当な企業努力とは別に起こることがあります。

それは一番してはいけない方法を選択してしまう先生が出てくるということです。

柔道整復師としてというよりも人としてしていけない方法を選択してしまう種類の人間が残念ながら存在するんですよね。

「第2回 レセコンを「ポチっ」と押すたび水増しに。 置き換え請求もやってしまっていませんか?」でも述べましたが、安易な考えで「不正請求」という方法を選択してしまう人がいるということなんです。

このような人は「先生」と呼べるのかどうか・・・。

厚生労働省によると、2008年からの10年間で計171人が不正請求などにより柔道整復施術療養費の受領委任取扱いの中止が決定し、そのうち逮捕や書類送検などで69人が刑事処分を受けているということです。

このような処分を下す前に行政が監査を行うに至った経緯としては、

 

a.患者から全国健康保険協会○○支部を通じて療養費の請求内容に疑義があるとの情報提供があったため、個別指導を実施したところ、療養費を不正に請求していることが疑われた。

b.匿名の者から療養費の請求内容に疑義があるとの情報提供があったため、その内容を精査したところ、療養費を不正に請求していることが疑われたことから、当該柔道整復師に対して監査を実施した。 

 

このような経緯があったと発表されています。

そしてその監査時に判明した不正請求額は様々ですが、中には「45円」という不正請求額も記録されています。

金額の大小ではなく、不正をしたという事実を重く見ているということがよくわかると思います。

 

不正請求をした柔道整復師は不正をした自覚がなかったかもしれませんが、

「これくらい大丈夫かな、これくらいはバレないだろう」

はもはや通用しません。

 

辻褄が合わないことや人に言えないことをやっていては今の時代では簡単にバレますし、不正は長く続けることはできないということです。

もう一度書きますが、金額の大小ではありません。

何も整骨院業界だけに当てはまることではありませんが、行なっている行為に少しでも辻褄が合わないところがある限り「これくらい」はもう絶対に通用しないのです。

少し暗い話が続きますが、次回は「受領委任の取扱いの中止に至った主な事由」を書いていきます。

 

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